AIカスタマーサポートの世界で起きた大型買収
ZendeskがForethoughtというAIスタートアップを買収しました。Forethoughtは2018年にTechCrunch Battlefieldで優勝した企業で、UpworkやGrammarly、Airtableといった有名企業がすでに導入しています。月間10億件以上の問い合わせを処理しているというから、その規模の大きさが分かります。
この買収の狙いは明確です。Zendeskは従来のチャットボット的なAI対応から一歩進んで、より複雑な問い合わせにも自動で答えられるシステムを作ろうとしています。ForethoughtのAI技術を取り込むことで、製品開発のスピードが1年以上早まるとZendesk側は説明しています。
買収金額は公表されていませんが、Forethoughtはこれまでに総額1億1500万ドルの資金調達をしており、NEAやSound Venturesといった大手投資家が出資していました。取引は今月末に完了する予定です。
従来のチャットボットとの違い
Forethoughtの特徴は、過去の問い合わせチケットから学習して自分で判断し、行動できる点にあります。一般的なチャットボットは決められたシナリオ通りにしか動けませんが、Forethoughtは状況に応じて推論し、適切な対応を選択します。
たとえば、顧客から「先週注文した商品がまだ届かない」という問い合わせがあったとします。従来のチャットボットなら「配送状況を確認してください」という定型文を返すだけですが、Forethoughtは自動で注文履歴を確認し、配送業者の追跡情報を取得し、遅延の理由まで説明できます。必要なら自動で再配送手続きまで行います。
実際の導入事例として、アウトドアブランドのCotopaxiでは投資対効果が168%に達したと報告されています。これは人間のオペレーターが対応していた業務の大部分を自動化できたためです。
音声対応も強化される
今回の買収でもう一つ注目すべきは、音声での問い合わせ対応が強化される点です。チャットやメールだけでなく、電話での問い合わせもAIが自動対応できるようになります。Zendeskによると、現在すでに80%以上の問い合わせをAIが解決しているとのことですが、Forethoughtの技術を組み合わせることで、残りの複雑な20%にも対応できるようになる見込みです。
フリーランスのサポート業務への影響
この動きは、カスタマーサポート業務を請け負っているフリーランスにとって両面性があります。単純な問い合わせ対応の仕事は今後さらに自動化が進むでしょう。一方で、AIでは対応しきれない複雑なケースや、顧客の感情に寄り添う必要がある対応については、引き続き人間の出番があります。
もしあなたがカスタマーサポート業務を提供しているなら、単純な問い合わせ対応だけでなく、より高度なスキルを身につける必要が出てきます。たとえば、AIツールの設定や最適化、エスカレーションされた複雑な問い合わせへの対応、顧客体験全体の設計といった領域です。
逆に、自分でサービスやオンラインショップを運営しているフリーランスにとっては朗報です。少ない予算でも高品質なカスタマーサポートを提供できるようになります。深夜や休日の問い合わせにも自動で対応できれば、顧客満足度を上げながら自分の作業時間を確保できます。
導入のハードルはどれくらいか
Zendeskの既存ユーザーであれば、今後のアップデートでForethoughtの機能が統合されていく形になります。新たに導入を検討する場合、Zendeskは中小企業向けのプランも用意していますが、月額数千円からと、個人事業主にとっては決して安くはありません。
Forethought自体は今後も単独での販売を続けるとのことなので、Zendeskを使っていない場合でもForethoughtを選択できます。ただし価格や日本語対応については現時点で詳細が明らかになっていません。
まとめ:様子見が賢明、ただし動向は追っておく価値あり
今回の買収は業界では大きなニュースですが、個人のフリーランスが今すぐ行動を起こす必要はありません。統合は3月末から始まる予定ですが、実際に機能が使えるようになるまでには数ヶ月かかるでしょう。
ただし、カスタマーサポート業務に関わっているなら、この動きは今後の自分の仕事に影響する可能性があります。AIが何を自動化し、何を自動化できないのかを理解しておくことで、自分の提供価値を再定義できます。
自分でサービスを運営している方は、今後数ヶ月の間にZendeskやForethoughtの事例をチェックしておくとよいでしょう。導入コストと効果のバランスが見えてきたタイミングで、検討リストに加えてみてください。
参考:TechCrunch記事


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