Multiverse Computingが圧縮AIアプリとAPI公開

Multiverse Computingが圧縮AIアプリとAPI公開 おすすめAIツール

オフラインで動くAIチャットの登場

Multiverse Computingが公開したCompactifAIアプリは、ChatGPTやMistralのLe Chatと同じようなAIチャットツールですが、大きな違いがあります。「Gilda」という超小型モデルを搭載しており、スマホやPCのRAMとストレージが十分であれば、完全にローカル・オフラインで動作します。

つまり、インターネット接続がない環境でもAIとの対話が可能になるわけです。飛行機の中や地下、電波の届かない場所での作業が多いフリーランスにとっては、作業環境の制約が減ることになります。

もしデバイスのスペックが不足している場合は、自動的にクラウドベースのモデルに切り替わる仕組みも備えています。この切り替えシステムは「Ash Nazg」という名前で、トールキンの指輪物語に由来しているそうです。

開発者向けAPIポータルも同時公開

同社はCompactifAIアプリと並行して、セルフサービスAPIポータルも立ち上げました。これまで圧縮AIモデルを利用するにはAWS Marketplaceを経由する必要がありましたが、このポータルを使えば開発者や企業が直接アクセスできるようになります。

APIポータルにはリアルタイムの使用量モニタリング機能が搭載されており、どれだけのリソースを消費しているかを把握しながら開発を進められます。料金体系については記事に記載がありませんでしたが、透明性とコントロールを重視した設計になっているとCEOのEnrique Lizaso氏はコメントしています。

最新モデル「HyperNova 60B 2602」の性能

APIで提供される圧縮モデルの中でも注目なのが「HyperNova 60B 2602」です。これはOpenAIモデルのオープンソース版であるgpt-oss-120bをベースに構築されており、元のモデルよりも高速かつ低コストで動作すると同社は主張しています。

特にアジェンティックコーディングワークフロー、つまりAIが複数のステップにわたるプログラミングタスクを自律的にこなす作業において優位性があるとのこと。複雑なコード生成を任せたいエンジニアにとっては、試す価値があるかもしれません。

量子インスパイアの圧縮技術とは

Multiverse Computingの技術の核となるのが「CompactifAI」という量子インスパイアの圧縮技術です。これはOpenAI、Meta、DeepSeek、Mistral AIといった大手が開発した大規模モデルを、大幅に小型化する技術です。

圧縮することでモデルのサイズが小さくなり、モバイルデバイスでも動作可能になります。さらに処理速度が向上し、クラウド利用時のコストも削減できるというのが同社の主張です。

ただし、圧縮によって性能がどの程度維持されるのかは、実際に使ってみないと分からない部分もあります。精度が求められる業務で導入を検討する場合は、まず小規模なテストから始めるのが現実的でしょう。

プライバシー重視の業務に向いている理由

CompactifAIの最大の特徴は、データがデバイス外に出ない点です。通常のクラウドベースAIサービスでは、入力したデータがサーバーに送信されますが、ローカルモデルを使えばその心配がありません。

例えば、顧客情報を扱うフリーランスのコンサルタントや、機密性の高い文書を作成するライターにとって、この仕組みは大きなメリットになります。クライアントから「データを外部サービスに送らないでほしい」と要望されることも少なくないため、そうした案件に対応しやすくなります。

ただし注意点もあります。古いスマホやスペックの低いPCでは、RAMやストレージが不足してクラウドモデルに切り替わってしまうため、プライバシー面での優位性が失われます。デバイスのスペックを事前に確認しておく必要があります。

競合サービスとの比較

オンデバイスAIという点では、AppleのApple Intelligenceも同様のアプローチを取っています。Appleはローカルモデルとクラウドモデルを組み合わせることで、接続環境やデバイスの状況に応じて最適な処理方法を選択しています。

また、Mistralも最近「Mistral Small 4」という小型モデルをリリースしました。こちらは一般的なチャット、コーディング、エージェントタスク、推論に最適化されています。さらにMistralは企業向けに「Forge」というシステムも提供しており、カスタムモデルの構築も可能です。

CompactifAIの強みは、クラウドインフラを必要とせずにエッジAIを実現できる点と、接続が不安定な環境でも動作する点です。ドローンや衛星といった特殊な用途でも活用できる可能性があります。

企業の背景と資金調達状況

Multiverse Computingはスペインのスタートアップで、すでにカナダ銀行、ボッシュ、Iberdrolaなど100社以上のグローバル企業と取引実績があります。2025年には2億1500万ドルのシリーズB資金調達を完了しており、2026年2月時点では15億ユーロ以上の評価額で新たに5億ユーロの資金調達を検討しているとBloombergが報じています。

資金力があり、既存顧客も多いことから、技術的な信頼性はある程度担保されていると考えられます。ただし、CompactifAIアプリのダウンロード数は過去1ヶ月で5,000未満とSensor Towerが報告しており、まだ一般ユーザー向けには準備が整っていない段階かもしれません。

フリーランスへの影響

この技術によって、フリーランスの作業環境がどう変わるかを考えてみましょう。まず、オフライン環境でAIを使えるようになることで、作業場所の選択肢が広がります。カフェのWi-Fiが不安定でも、飛行機の中でも、AIアシスタントを利用できるわけです。

次に、プライバシーを重視するクライアントからの案件に対応しやすくなります。「データを外部に送らないでほしい」という要望に応えられるため、受注できる案件の幅が広がる可能性があります。

コスト面でも、クラウドベースのAIサービスより低コストで利用できる可能性があります。ただし、CompactifAIの料金体系が公開されていないため、実際の費用対効果は不明です。

一方で、デバイスのスペック要件が高いという制約もあります。古いスマホやPCでは十分に動作せず、結局クラウドに頼ることになるため、全てのフリーランスにとって恩恵があるわけではありません。特に動画編集やグラフィックデザインで重いソフトを使っている方は、さらに高スペックなデバイスが必要になるかもしれません。

現時点では、プライバシーが重要な業務に携わるエンジニアやライター、接続が不安定な環境で作業することが多い方にとって、試してみる価値がある技術だと言えます。

まとめ

Multiverse ComputingのCompactifAIアプリとAPIポータルは、オフラインでAIを使いたい方やプライバシーを重視する業務に携わる方にとって、新しい選択肢になります。ただし、デバイスのスペック要件や料金体系が不明な点もあり、まだ一般向けには発展途上の段階かもしれません。

すぐに導入するというよりは、今後の動向を見守りつつ、公式サイトで情報をチェックしておくのが現実的でしょう。特にプライバシーが重要な案件を扱うフリーランスの方は、デモ版があれば試してみる価値があります。

参考リンク:
CompactifAIアプリ: https://multiversecomputing.com/compactifai-app
APIポータル: https://dashboard.compactif.ai/

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