Grammarly、著名記者の名前を無断でAI機能に使用

Grammarly、著名記者の名前を無断でAI機能に使用 AIニュース・トレンド

何が起きたのか

Grammarlyは多くのフリーランスライターが利用する文章校正ツールですが、同社の「Expert Review」というAI機能に問題が見つかりました。この機能は、有名なジャーナリストや著者のスタイルを模倣したフィードバックを提供するというものです。

ところが、The VergeとWiredの調査によって、この機能が実在する人物の名前を本人の許可なく使用していることが明らかになりました。Nilay Patel、David Pierce、Tom Warrenといったテック業界で知られるジャーナリストたちが、自分の名前がGrammarlyのAI機能に組み込まれていることを知らされていなかったのです。

さらに問題なのは、すでに亡くなっている作家の名前まで使われていた点です。故人の遺族や関係者に確認を取ることもなく、AIが彼らのペルソナを作り上げ、執筆アドバイスを提供していました。

Grammarlyの対応

この問題が発覚した後、Grammarlyはどう対応したのでしょうか。意外なことに、同社は該当機能を削除していません。代わりに、影響を受けた本人が自らオプトアウトの申請をする方式を採用しています。

つまり、「自分の名前を使わないでほしい」と思う人が、わざわざGrammarlyに連絡して削除を依頼しなければならないということです。これは一般的な「オプトイン」(事前に許可を得る方式)とは正反対のアプローチで、多くの批判を招いています。

フリーランスライターへの影響

この問題は、Grammarlyを使っているフリーランスライターにとって、いくつかの意味で気になるニュースです。

まず、自分が執筆した文章のフィードバックが、実は本人の許可を得ていない「専門家」によるものだったという信頼性の問題があります。有名ジャーナリストの名前がついていれば、そのアドバイスに重みを感じるのは自然なことですが、その専門家が実際には関与していないとなると話は別です。

さらに深刻なのは、将来的に自分自身の名前が無断で使われる可能性があるという点です。今回はテック系の著名ジャーナリストが対象でしたが、特定分野で実績を積んだフリーランスライターの名前が、同じように無断でAIトレーニングやペルソナ作成に使われないとは限りません。

AI時代の知的財産権

この問題は、AI企業と個人のアイデンティティをめぐる大きな議論の一部です。OpenAIのChatGPTやAnthropicのClaudeなど、多くのAIツールが公開データを学習に使っていますが、個人の名前やスタイルを模倣する機能については、まだ明確なルールが確立されていません。

例えば、あなたがブログやSNSで発信している内容が、将来的にAIによって「あなた風のアドバイス」として再現される可能性があります。それが商業サービスの一部として提供され、あなたには一切の報酬や通知がないとしたら、どう感じるでしょうか。

使い続けるべきか、やめるべきか

Grammarlyは依然として優れた文章校正ツールです。スペルチェック、文法修正、トーン調整など、基本機能は多くのライターにとって有用なままです。今回問題になった「Expert Review」機能は、全体の中の一部の機能に過ぎません。

ただし、この問題をどう受け止めるかは個人の判断です。同社の倫理的な姿勢に疑問を感じるなら、ProWritingAidやHemingway Editorといった代替ツールを検討する選択肢もあります。

もしGrammarlyを使い続ける場合は、「Expert Review」機能の利用は慎重に判断したほうがよいでしょう。その「専門家」が本当に関与しているかどうかを確認する術はありませんし、今後も同様の問題が起きる可能性があります。

自分の名前を守るために

フリーランスとして活動している方は、自分の名前やコンテンツがどう使われているかを定期的に確認することをおすすめします。Google検索で自分の名前とAIツール名を組み合わせて検索したり、各種AIサービスの利用規約をチェックしたりするのは手間がかかりますが、将来的なトラブルを避けるためには必要な作業です。

また、自分のウェブサイトやポートフォリオに、AIによるコンテンツ使用に関する明確な方針を掲載しておくのも一つの方法です。法的な拘束力がどこまであるかは不明ですが、少なくとも自分の意思を明確にしておくことはできます。

まとめ

Grammarlyの「Expert Review」機能をめぐる今回の問題は、AI時代における個人の権利とアイデンティティ保護の難しさを示しています。フリーランスとして活動する私たちにとって、便利なAIツールを使いながらも、自分の名前やコンテンツがどう扱われているかに注意を払う必要があります。

Grammarlyを今後も使うかどうかは、あなた自身の判断次第です。基本的な校正機能に不満がないなら、「Expert Review」だけを避けるという使い方もできます。一方で、企業の姿勢に疑問を感じるなら、他のツールへの移行を検討する時期かもしれません。

参考: 元記事(The Decoder)

コメント

タイトルとURLをコピーしました