経営難のBuzzFeedが打ち出した新戦略
BuzzFeedといえば、バイラルコンテンツやクイズで一世を風靡したメディア企業です。ただ、ここ数年は厳しい状況が続いています。2025年3月12日には「事業継続に重大な疑念がある」という異例の声明を発表し、昨年だけで5,730万ドルの赤字を記録しました。
そんな中、創業者でCEOのジョナ・ペレッティ氏が3月17日、テキサス州オースティンで開催中のSXSWカンファレンスに登壇。AIを活用した新しいコンシューマー向けアプリを手掛けるスピンオフ会社「Branch Office」を発表しました。「1年以上秘密裏に開発してきた」というこのプロジェクト、果たしてBuzzFeedの救世主になるのでしょうか。
発表された3つのアプリ
BF Island:トレンドを使ったAI画像編集
1つ目は「BF Island」というグループチャットアプリです。特徴は、AIを使った写真の編集・変更機能。ただ、このAI機能自体は特別新しいものではありません。むしろ注目すべきは、BuzzFeedの編集チームが作成した「トレンドライブラリ」です。
このライブラリには、今ネット上で話題のミームやトレンドが収録されていて、ユーザーはそれを参考にしながらAI画像を作れます。常にオンラインでトレンドをチェックしている「very online」な層がターゲットとのこと。例えば、今流行っているミームのスタイルで自分の写真を加工したり、友人とのグループチャットでシェアしたりする使い方を想定しているようです。
Conjure:BeReal風の日常記録アプリ
2つ目の「Conjure」は、一時期話題になった「BeReal」に似たコンセプトです。BeRealは1日1回、決まった時刻に通知が来て、その瞬間の写真を撮るアプリでした。Conjureも似た仕組みですが、自撮りではなく「日常の物」を撮影するよう促すのが違いです。
デモでは「木々と月の間に何がある?」というプロンプトが表示され、ユーザーが夜空を撮影するという流れが紹介されました。将来的には動画や音声、さらにはClaude Codeを使ったプロトタイピング機能も検討しているとのこと。ただ、BeReal自体が2024年に約5億ユーロで売却されたものの、ユーザー定着に苦戦した経緯があります。会場からも「同じリテンション問題にどう対処するのか」という厳しい質問が飛びました。
Quiz Party:クイズを友人と楽しむ
3つ目は「Quiz Party」。BuzzFeedといえばクイズコンテンツが有名ですが、それを友人と一緒に受けて結果をシェアできるソーシャルアプリです。記事では詳細が少なく、具体的な使い方や特徴はあまり明かされていません。
発表の反応は「微妙」の一言
SXSWでの発表は、お世辞にも成功とは言えませんでした。最初にスライドショーが動かないトラブルがあり、その後のアプリデモも会場は沈黙か、ぎこちない笑いで迎えられたそうです。TechCrunchの記者は「We don’t get it(よくわからない)」とバッサリ。テック業界に詳しい聴衆でさえ、説得されなかったようです。
プロダクトディレクターのBill Shouldis氏は、リテンション問題への質問に対して「アプリは進化する。今とは違うさまざまなことが起こるようになる」と答えましたが、具体性には欠けていました。ペレッティ氏も「ソフトウェアは新しいコンテンツだ」「AIは人々をつなぐ方法だ」と語りましたが、会場の反応は冷ややかだったようです。
フリーランスにとってどうか
正直なところ、今回発表されたアプリがフリーランスの実務に直接役立つ可能性は低そうです。BF Islandのトレンドライブラリは面白い試みですが、マーケティングやSNS運用をしているフリーランスにとっては、すでにCanvaやMidjourneyなど、より強力なツールがあります。
Conjureも、日常の記録を楽しむアプリとしては興味深いですが、仕事の生産性向上には直結しません。BeRealと同じ道をたどる可能性も十分あります。Quiz Partyに至っては、エンタメ要素が強く、業務利用は想定しにくいでしょう。
むしろ、この発表から学べるのは「AIアプリの難しさ」かもしれません。BuzzFeedほどの知名度がある企業でも、AI機能を付けただけでは差別化できない時代になっています。フリーランスが新しいAIツールを選ぶときも、「AIだから」ではなく「具体的に何ができるか」「既存ツールより優れているか」を冷静に見極める必要があります。
様子見が賢明
BuzzFeedの新アプリは、少なくとも現時点では「フリーランスが試す価値がある」とは言い難い状況です。リリース時期も料金も不明で、会場の反応も芳しくありませんでした。経営難の企業が急いで出した新事業という印象は否めません。
もし興味があるなら、正式リリース後にレビューや口コミを確認してからでも遅くないでしょう。今すぐ行動する必要はなく、しばらく様子を見るのが賢明です。それよりも、すでに実績のあるAI画像生成ツールや業務効率化ツールに時間を使った方が、生産性は上がるはずです。
参考記事:TechCrunch – BuzzFeed debuts AI slop apps in bid for new revenue


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