AnthropicがVercept買収、PC自動操作AI強化へ

AnthropicがVercept買収、PC自動操作AI強化へ AIニュース・トレンド

買収の背景:Claudeを「実行できるAI」にする戦略

Anthropicは2026年2月25日、シアトル発のAI企業Verceptの買収を発表しました。これはAnthropicにとって2回目の買収で、前回は2025年12月にBunを買収しています。

Verceptは「Vy」というAIエージェントを開発していました。このVyは、リモートでMacBookを操作し、複数のアプリケーションをまたいで複雑な作業を自動で完了させることができるツールです。たとえば、領収書をアップロードしてスプレッドシートに記録し、経費報告書を作成して提出する、といった一連の流れを自動化できます。

Anthropicの狙いは明確です。Claudeを単なる会話型AIから、実際にパソコンを操作して仕事をこなせる「実行可能なオペレーター」へと進化させることです。すでにClaudeの最新版Sonnet 4.6は、OS操作の評価テストで72.5%の精度を達成しています。ちなみに2024年後期の時点では15%以下だったので、急速に進化していることがわかります。

Verceptとは何だったのか

Verceptは、Allen Institute for AIに関連するA12インキュベーターから生まれた企業です。これまでに合計5,000万ドルの資金を調達しており、投資家にはGoogleの元CEOエリック・シュミット氏や、Google DeepMindの主任科学者ジェフ・ディーン氏といった著名人が名を連ねていました。

主力製品のVyは「ビジョンベース」のコンピュータ制御ツールでした。これは従来のRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツールと違い、APIやスクリプトに依存せず、画面を「見て」操作する仕組みです。自動化ベンチマークでは92%の精度を達成し、OpenAIの同等機能より83%高い性能を示していました。

ただし、Vyは3月25日に外部向けサービスを終了する予定です。現在のユーザーはClaudeへの移行が推奨されています。買収に伴い、共同創業者のKiana Ehsani氏、Luca Weihs氏、Ross Girshick氏を含む約9人のチームがAnthropicに合流します。

買収と同時に起きたもう一つの動き

興味深いことに、Verceptの共同創業者の一人、Matt Deitke氏は買収と同時期にMetaのSuperintelligence Labに移籍しました。報道によると、Deitke氏の報酬は2億5,000万ドルとされています。彼はソーシャルメディアで元同僚を祝福するコメントを残しており、友好的な関係を保っているようです。

フリーランスにとって何が変わるのか

この買収が意味するのは、Claudeが近い将来、あなたのパソコンを実際に操作できるようになるということです。現時点でも、Claudeに指示を出せば文章を書いたりアイデアを出したりしてくれますが、それを実際に「実行」するのはあなた自身でした。

Verceptの技術が統合されれば、たとえばこんなことが可能になるかもしれません。「先月の経費をまとめて請求書を作成して」と指示すると、Claudeがあなたのパソコン上でスプレッドシートを開き、領収書をアップロードし、計算して請求書PDFを作成する。あるいは「このデータをもとにレポートを作って、WordPressに下書き保存して」といった指示で、複数のアプリをまたいだ作業を自動でこなしてくれる可能性があります。

特に恩恵を受けそうなのは、事務作業に時間を取られがちなフリーランスの方です。ライターやデザイナー、コンサルタントなど、創作やクライアントワークに集中したい職種の人にとって、経費処理や請求書作成、データ入力といった定型作業を自動化できれば、月に数時間から十数時間の時間を節約できるでしょう。

競合との比較

こうした「PC操作の自動化」は、Anthropicだけのものではありません。OpenAIも同等の機能を開発中ですし、GoogleはGeminiを使ってWorkspaceとChromeを統合する動きを進めています。MicrosoftもCopilotとPower Automateを連携させています。

ただし現時点では、Claudeが頭一つ抜けている印象です。OS操作の評価で72.5%という数字は、実用レベルに近づいていることを示しています。一方で、まだ完璧ではありません。10回に3回は失敗する可能性があるということでもあります。

注意点と今後の見通し

この技術がすぐに使えるわけではありません。Verceptの買収が発表されたばかりで、Claudeへの統合には時間がかかるでしょう。また、日本語環境での対応状況や、MacだけでなくWindowsでも動作するのかといった詳細は、まだ明らかになっていません。

セキュリティ面の懸念もあります。AIがあなたのパソコンを操作するということは、機密情報へのアクセス権限を与えることになります。Anthropicがどのようなセキュリティ対策を講じるのか、利用規約や料金体系がどうなるのかも、今後注目すべきポイントです。

また、UiPath Inc.という既存のRPA企業の株価が、この買収ニュース後に下落したという報道もあります。市場は、AI自動化技術が従来のツールを置き換える可能性を感じ取っているようです。

今、フリーランスが取るべき行動

現時点では「様子見」が賢明な選択です。Claudeをすでに使っている方は、今後のアップデート情報をチェックしておくとよいでしょう。PC操作機能が実装されたら、まずは簡単なタスク(たとえば定型的なデータ入力など)から試してみて、精度や使い勝手を確認することをおすすめします。

まだClaudeを使ったことがない方は、今のうちに基本的な使い方に慣れておくのも一つの手です。チャット機能だけでも、ライティングのアイデア出しや文章の校正、リサーチのサポートなどで十分に役立ちます。

自動化できる作業がどれくらいあるか、一度洗い出してみるのもよいでしょう。経費処理、請求書作成、データ入力、定型メールの送信など、毎月繰り返している作業をリストアップしておけば、将来的にこうしたツールが実用化されたとき、すぐに活用できます。

参考リンク:TechCrunch原文記事

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