元OpenAI研究者、AI半導体を避けてインフラ株に集中投資

AIブームで儲かるのは「チップを作る会社」だけではない

生成AIの波が世界を席巻するなか、多くの投資家がNVIDIAやAIモデル開発企業へと資金を集めてきました。ところが、OpenAIの元研究者であるレオポルド・アッシェンブレナー氏が率いるヘッジファンド「Situational Awareness LP」は、まったく異なる方向に舵を切っています。同ファンドはSECへのForm 13F提出書類を通じて、その独自戦略を明らかにしました。

アッシェンブレナー氏はOpenAIを2024年4月に退社した後、このファンドを本格始動させました。彼のアプローチは一言でいうと「AIが使う電力と場所に投資する」というものです。AIモデルを動かすには膨大な電力と計算資源が必要で、その需要は今後も増え続けると見ている。だからこそ、チップを製造する会社よりも、そのチップを動かすための電力を供給するインフラ側に着目しているわけです。

具体的な戦略:半導体をショート、電力・暗号資産マイナーをロング

同ファンドの戦略の核心は、NVIDIAをはじめとするAI半導体関連銘柄に対してショートポジション(株価下落で利益を狙う売り建て)を取りながら、電力供給企業や既存の計算基盤を持つ暗号資産マイナーへロング投資(買い建て)を集中させる点にあります。エクスポージャーの総額は約136億ドルに拡大しており、その規模からも本気度が伝わってきます。

なぜ暗号資産マイナーなのか、と思う方もいるかもしれません。暗号資産のマイニングには大量の計算処理が必要で、そのために膨大なデータセンターと電力インフラをすでに保有している企業が多くあります。AIの学習や推論に使う計算資源と、マイニングに使う計算資源は性質が似ているため、既存のインフラをAI向けに転用・提供できる可能性があるというわけです。電力会社への投資も同じ発想で、AIデータセンターの稼働に不可欠な「電気」という資源の供給者に直接投資することで、AIブーム全体の恩恵を受けようとしています。

なぜ半導体銘柄をショートするのか

半導体銘柄、特にNVIDIAはAIブームの象徴として株価が大きく上昇してきました。しかしアッシェンブレナー氏の見立ては少し異なります。半導体製造やモデル開発の領域は競争が激しく、技術革新のサイクルも速い。今トップにいる企業が5年後も同じポジションにいるとは限らない、というリスクを重視しているのです。

一方で電力インフラやデータセンターは、一度建設されれば長期にわたって価値を持ち続けます。AIがどのモデルを使うにせよ、電力とサーバースペースは必ず必要になる。この「誰が勝っても必要とされるインフラ」への投資という発想は、ゴールドラッシュ時代にジーンズや道具を売って稼いだ人々の話にも重なります。

戦略の注意点

もちろん、この戦略がリスクゼロというわけではありません。電力供給企業への投資は規制環境や燃料コストの変動に左右されますし、暗号資産マイナーはその名の通り暗号資産市場の動向とも切り離せません。また、半導体ショートは株価が想定に反して上昇し続けた場合に大きな損失を生む可能性もあります。エクスポージャーが136億ドル規模であることを考えると、個人投資家が同じ手法をそのまま真似するのは現実的ではありません。

フリーランスへの影響

「ヘッジファンドの話なんて自分には関係ない」と感じる方もいるかもしれません。ただ、この戦略が示している視点はフリーランスにとっても参考になる部分があります。AIツールを使って仕事をしている人にとって、AIサービスの料金や可用性は直接的な問題です。データセンターや電力インフラへの投資が進めば、AIサービスの供給能力が安定・拡張され、料金の安定や新サービスの登場につながる可能性があります。

また、AIに詳しいフリーランスの方なら、クライアントへの提案やコンサルティングの文脈で「AIインフラの重要性」を説明する際の根拠として、このような動向を参照できます。特にAI導入を検討している中小企業への提案では、「モデルだけでなく動かすためのインフラも重要」というメッセージは説得力を持つでしょう。さらに、副業として個人投資をしている方には、AIブームへの投資アプローチの多様性を知る上での参考情報になります。

まとめ

アッシェンブレナー氏のファンドが示した戦略は、AIブームの「受益者」を半導体メーカーではなく電力・インフラ側に見出すユニークな視点です。投資家でなくても、AIがどこに向かっているかを理解するヒントとして読んでおく価値はあります。詳細はSECのForm 13F開示資料や関連報道で確認できますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

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