「全部オンから始まる」問題を解決した新モード
AIエージェントを自分のサービスや業務システムに組み込んだ経験がある方なら、こんな悩みを抱えたことがあるかもしれません。「使わない機能まで全部読み込まれて、動作が重くなる」「どのツールが実際に動いているか把握しきれない」。Nous Researchが追加したBlank Slateモードは、まさにこの問題に正面から向き合ったアップデートです。
従来のHermes Agentは、起動した時点でweb検索、ブラウザ操作、コード実行、画像認識、メモリ機能、他エージェントへの委任、定期実行(cron)、スキル、プラグイン、MCPサーバーといった多彩なツールが自動的に有効な状態になっていました。便利な反面、使わない機能まで動いているため、セキュリティ上のリスクや予期しない動作の原因になることもありました。
Blank Slateモードでは、これらのツールがすべて無効化された状態からスタートします。起動直後に動いているのは「プロバイダー&モデルの接続」「ファイル操作ツールセット」「ターミナルツールセット」の3つだけ。まるっきりのゼロではなく、エージェントとして最低限機能する土台だけが残り、そこから必要なものを自分で追加していく仕組みです。
ツールセットの無効化も、コマンド1つで一元管理
Blank Slateモードと同時に強化されたのが、ツールセットの一元制御機能です。これまで特定のツールを無効化しようとすると、CLIや各種ゲートウェイプラットフォームごとに設定を書き換える必要があり、場合によっては15行以上の設定ファイルを編集しなければなりませんでした。
新しいagent.disabled_toolsetsという設定を使えば、CLIでも全てのゲートウェイプラットフォームでも、同じ1つの設定で一括管理できます。たとえばメモリ機能とweb検索を無効化したい場合、それぞれのプラットフォームで個別に設定を変更する手間がなくなります。
また、Blank Slateモードで作成したエージェント設定はplatform_toolsets.cliとagent.disabled_toolsetsに明示的に書き込まれます。これにより、hermes updateコマンドでエージェントをアップデートしても、自分が選んでいない機能が勝手に復活することがありません。アップデートのたびに設定を見直す必要がなくなるのは、継続的にシステムを運用する立場からすると、地味ながら助かる改善です。
実際にどう使うイメージか
具体的な使い方として、たとえばクライアントのデータを処理する自動化スクリプトを組んでいるフリーランスエンジニアの場合を考えてみます。この用途ではweb検索もブラウザ操作も必要ないため、Blank Slateモードで起動してファイル操作とターミナルだけを有効にしておけば、余計な機能が動く心配がありません。万が一エージェントが誤動作しても、無効化されたツールは動かないので影響範囲をあらかじめ絞り込めます。
別の例として、複数のクライアントプロジェクトを同時に管理しているフリーランスが、案件ごとに異なるツール構成のエージェントを使い分けるケースもあります。プロジェクトAにはMCPサーバーとスキルを追加、プロジェクトBにはメモリとプラグインを追加、という具合に環境を分けて管理できます。
ただし注意点もあります。Blank Slateモードはあくまで「ゼロから積み上げる」仕組みなので、最初からweb検索や画像生成を使いたい場合は、明示的にオプトインする手順を踏む必要があります。セットアップの手間が多少増える点は、初めて使う方には少しハードルに感じるかもしれません。ドキュメントは現在英語中心ですが、CLIは多言語対応が可能で、hermes setupコマンドで詳細を確認できます。利用環境はクラウド・ローカルの両方に対応しており、グローバルで利用できます。
フリーランスへの影響
このアップデートが特に関係してくるのは、クライアントからAIエージェントの構築や自動化システムの開発を受託しているフリーランスエンジニアや、自分のサービスにエージェント機能を組み込もうとしている個人開発者です。セキュリティ要件が厳しいクライアント向けのシステムを構築する際に「どのツールが動いているか明確に示せる」という点は、提案時の信頼性にもつながります。
作業時間の観点では、複数プロジェクトで同じ設定を使い回す場合や、アップデートのたびに設定を見直していた作業が減る可能性があります。ただしBlank Slateモード自体が直接収益に影響するわけではなく、あくまで開発・運用の効率化という位置づけです。AIエージェントを日常的に使っていないフリーランスには、今すぐ使う機会は少ないかもしれません。

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