「AI使用」と書くと顧客が離れる?米国の調査結果

「AI」という言葉が、ブランドの信頼を下げている

AIを使ったサービスや制作物を提供しているフリーランスの方に、少し気になる調査結果が出てきました。マーケティング調査会社が2026年4月に実施したアンケートによると、米国消費者の60%が「ブランドのメッセージにAIという言葉が入ると、そのブランドに対して引いてしまう」と回答したのです。対象は企業の意思決定者やCMO800人、一般成人1200人の合計2000人と、規模としてもそれなりに信頼性のある調査です。

さらに踏み込んだ数字もあります。回答者の86%が「AIを十分には信頼できていない」と感じており、AIが提示した情報であっても、元の一次情報や出典を自分で確認したいと考えているそうです。単純に「AI=便利」という受け止め方が広まっているわけではなく、むしろ慎重さや懐疑心が根強く残っている状況です。

特に印象的だったのは、「出典が明確でないAI生成の回答は、航空会社の不透明な手数料や曖昧なプライバシーポリシー、医療費の請求書よりも信頼できない」と答えた人が42%もいたという点です。日常生活でもっとも不満を感じやすいものの代名詞として挙げられるようなものと同列、あるいはそれ以上に不信感を持たれているということで、これはなかなか重い数字です。

なぜこういった結果になったのか

背景として考えられるのは、ここ数年でAI生成コンテンツが急速に増えたことへの疲弊感です。検索結果やSNSフィード、企業からのメールに至るまで、「AIが作った感」のある文章に触れる機会が爆発的に増えました。読んでいると何となく似たような構造、似たようなトーンの文章が続く——そういった体験が積み重なることで、消費者の中に「AI=手抜き・信頼できない」という印象が形成されつつあるのかもしれません。

また、AIが誤った情報を自信満々に回答する、いわゆる「ハルシネーション」問題が広く報道されてきたことも影響しているでしょう。企業がAIを活用することに対して、消費者が根拠なく安心できる段階には、まだ達していないというのが現実のようです。

「AI活用」を前面に出すことのリスク

この調査はあくまで米国が対象ですが、日本でも似たような感覚を持つ人は少なくないはずです。たとえばフリーランスのライターやデザイナーが「AIを活用して制作しています」とクライアントに伝えた場合、受け取り方は人によって大きく異なります。「効率的だな」と感じる人もいれば、「品質が心配」「手を抜いているのでは」と思う人もいるでしょう。

今回の調査が示しているのは、「AI」という言葉そのものがブランドや提供者への信頼感に影響を与えうる、という点です。つまり、実際にどれだけ質の高い成果物を出しているかではなく、「AIを使っている」という表現だけで評価が変わる可能性があるということです。

一方で、AIを使っていることを隠すことが正解かというと、それも一概には言えません。透明性を重視するクライアントもいますし、むしろ「どのようにAIを使い、どこに人間の判断を介在させているか」を丁寧に説明することで、信頼を高めているフリーランサーもいます。

フリーランスへの影響と、考えておきたいこと

AIをビジネスに活用しているフリーランスや個人事業主にとって、この調査結果は提案書やSNSの発信、ポートフォリオの書き方を見直す材料になるかもしれません。たとえばWebサイトに「AI活用で高速納品」と書いている場合、それが集客にプラスに働いているか、一度立ち止まって考えてみる価値はあります。

特にBtoC向けのサービスを提供している方(一般消費者に向けたコンテンツ制作やSNS運用など)は、今回のような消費者心理を意識しておいたほうがよさそうです。一方、BtoB、つまり企業向けの業務支援やシステム構築などを手がけているフリーランスであれば、AI活用を強みとして打ち出すことへの抵抗感はまだ低い傾向があります。

作業時間や収益に直接影響するかどうかは、自分のクライアント層や提供サービスの性質によって異なります。ただ、少なくとも「AIを使っていることを伝える言葉の選び方」には、今まで以上に気を配る時代に入ったと言えるでしょう。「AI」という単語を使わず、「最新技術を活用したリサーチ」「効率化されたワークフロー」といった表現に置き換えるだけでも、受け取られ方が変わることがあります。

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