「トークン」をめぐる二つの問題が同時進行している
2025年6月、TechCrunchが「Tokenpocalypse(トークンの黙示録)」という刺激的な言葉を使った記事を公開しました。この言葉は、AI分野と暗号資産分野の両方で起きている「トークンをめぐる混乱」を表現するために使われています。一見すると遠い話に聞こえるかもしれませんが、AIツールを日常的に使うフリーランスにとっても、じわじわと影響が出てくる可能性のある動きです。
まずAI分野での話から整理しましょう。ChatGPTやClaudeといった生成AIを使うとき、裏側では「トークン」という単位でテキストが処理されています。日本語だと1文字がおおむね1〜2トークンに相当し、長い文章を入力したり大量のコンテンツを出力させたりするほど、消費トークン数は増えていきます。
近年、この消費量が急速に膨らんでいます。背景にあるのは、AIエージェントや自動化ワークフローの普及です。人間が手入力で使う場合と異なり、AIが別のAIを呼び出したり、複数のステップを自動で繰り返したりする仕組みが広まったことで、1回のタスクあたりのトークン消費が桁違いに大きくなっています。「tokenmaxxing」と呼ばれる現象も話題になっており、これはトークンを大量に使わせることでAIの出力精度を意図的に高めようとするアプローチを指します。プロンプトに長い説明や具体例を詰め込むことで回答の質が上がる一方、コストも比例して増えるという構造です。
暗号資産のトークン市場では淘汰が加速している
もう一方の「トークン問題」は暗号資産の世界で起きています。CoinGeckoの調査によると、2025年第1四半期だけで非常に多くのトークンが事実上の失敗に終わり、2021年以降に追跡されてきたトークンの半数以上が取引停止状態になっているとのことです。新しいトークンが次々と発行される一方で、その大多数が短期間で価値を失っていく——この現象が「Tokenpocalypse」という言葉で表現されています。
AIと暗号資産のトークン問題は、表面上は別々の話です。ただ共通しているのは、「技術的な仕組みが急速に普及したことで、市場やコスト構造に予期しない歪みが生まれている」という点です。AIトークンは消費量の急増がサービスコストに影響し、暗号資産トークンは発行過剰が市場の信頼を損なっています。どちらも「成長痛」とも言える状況です。
フリーランスが特に気にすべきはAIトークンのコスト
暗号資産への投資をしていない方には、AIトークンの消費増大のほうがより身近な問題として関わってきます。たとえば、ChatGPT PlusやClaudeのProプランを使っている場合、現時点では月額定額制なので直接の追加コストは発生しません。しかしAPIを使って自作ツールや自動化ワークフローを構築している場合は話が変わります。APIはトークン単位での従量課金が基本なので、エージェント的な使い方をするほど思わぬコストが積み上がりやすくなっています。
具体的なケースで考えてみましょう。ブログ記事のリサーチから構成案、本文執筆までをAIに一括で任せる自動化フローを作った場合、1記事あたりのトークン消費は手動でAIを使う場合の数倍から数十倍になることがあります。月に20〜30本記事を量産するような使い方では、API費用が予想を超えてくることもあります。こうした「tokenmaxxing」的なアプローチを取るときは、あらかじめAPIの使用量を定期的に確認する習慣をつけておくと安心です。
もう一つ注意しておきたいのは、AIサービス各社のプランや料金体系が今後変わる可能性があるという点です。トークン消費の急増はAI企業側のインフラコストにも影響しており、現在の定額制プランがいつまでも続くとは限りません。現時点では変更のアナウンスはありませんが、「定額だから使い放題」という感覚で運用の仕組みを作っていると、将来的に見直しが必要になることも考えられます。
フリーランスへの影響:今すぐ困ることはないが、把握はしておきたい
結論から言えば、今すぐ何か行動を変える必要があるケースは限られています。ChatGPTやClaudeを普通に使っているだけであれば、Tokenpocalypseという言葉に焦る必要はありません。ただ、APIを活用した自動化やエージェント構築に取り組んでいる方、あるいは今後そういった仕組みを作ろうとしている方は、トークン消費コストの把握を後回しにしないほうがいいでしょう。
暗号資産のトークンについては、投資や副業として関わっている方以外は直接の影響は薄いと思います。ただ「2021年以降のトークンの半数超が取引停止」というCoinGeckoのデータは、新しい仮想通貨やNFT関連のプロジェクトに参加・投資する際の参考情報として頭に入れておく価値はあります。
AI自動化の恩恵を最大限に受けながらコストを適切にコントロールするという視点は、今後のフリーランスの仕事のやり方においてじわじわと重要になってきそうです。
まとめ:様子見でOK、ただしAPI利用者は要チェック
今回のTechCrunchの記事が示すのは、AI・暗号資産の両方でトークンをめぐる動きが慌ただしくなっているという現状です。ChatGPTやClaudeを定額プランで使っている方はひとまず様子見で問題ありません。一方、APIを使って自動化に取り組んでいる方は、月々のトークン消費量を一度確認してみることをおすすめします。

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