1年前とはまったく違う市場になっている
少し前まで、ウェブベースのAIチャットといえばほぼChatGPT一択でした。2024年初頭、ChatGPTはウェブトラフィック全体の77.6%を占めており、競合他社の存在感はほとんどありませんでした。ところが最新データでは、そのシェアが53.7%まで下がっています。まだ過半数ではあるものの、「独り勝ち」から「やや優勢」という状況への変化は、AIツールを日常的に使うフリーランスにとっても他人事ではありません。
対照的に急成長しているのがGoogle Geminiです。同期間のシェアは7.3%から26.7%へと、約3.7倍に拡大しました。この数字だけ見ると、単に「Googleが頑張った」という話に見えますが、背景にはGoogleならではの強みが働いています。
Geminiが急成長している理由
Geminiの躍進を支えているのは、機能そのものというよりも「GoogleというプラットフォームのパワーとAIの組み合わせ」だと考えられます。Googleはすでに世界中の人々が毎日使う検索エンジン、Gmail、Googleドライブ、Androidなど膨大なエコシステムを持っています。Geminiはそこに自然に組み込まれる形で、ユーザーに触れる機会を増やしてきました。
たとえばGmailの返信候補にGeminiが使われたり、Google検索の結果画面でAI生成の要約が表示されたりと、「わざわざ別のサービスを開く」ことなくGeminiに触れる場面が増えています。この「既存サービスへの統合」という戦略が、トラフィック増加の大きな要因になっているのです。フリーランスとして普段からGoogleのサービスを使っている方なら、知らないうちにGeminiを使い始めていた、という経験がある人もいるかもしれません。
ただし、このデータには大事な注意点がある
このSimilarwebのデータが示しているのは、あくまで「ウェブサイトへのアクセス数のシェア」です。ChatGPTのAPIを使って構築されたサービス、スマートフォンのアプリからの利用、企業向けの有料プランなど、ウェブトラフィックに含まれない利用形態は一切カウントされていません。
実際、ChatGPTはスマートフォンアプリの利用者数が非常に多く、開発者向けのAPI経由での利用も広く普及しています。つまり「ウェブシェアが下がった=ChatGPTの実際の利用が減った」とは必ずしも言えないわけです。AI市場全体の収益規模や実際のユーザー数を正確に反映したデータではないことを踏まえて読む必要があります。
フリーランスへの影響
この動きがフリーランスの日常業務に直接影響するかというと、今すぐ何かが変わるわけではありません。ただ、ツール選びの視点として持っておくと役立つ情報です。
ひとつは「Geminiが現実的な選択肢になってきた」という点です。以前はChatGPTと比べて見劣りすると感じていた方も、最近のGemini 1.5 Proや2.0 Flashの進化を考えると、GoogleドキュメントやGmailと連携した作業フローでは十分以上の実力を発揮することがあります。特に文章の確認・修正、メールの下書き、検索と組み合わせたリサーチ作業などは試してみる価値があります。
一方で、ChatGPTがシェアを下げているからといって性能が落ちているわけではありません。コーディング補助、長文ドキュメントの処理、プラグインやGPTs活用といった場面では引き続き強みを発揮しています。今使っているツールが自分のワークフローに合っているなら、無理に乗り換える必要はないでしょう。
市場の競争が激しくなることは、フリーランスにとってはむしろ歓迎できる変化です。各社がシェアを奪おうと機能改善や価格競争を行う結果、私たちユーザーの選択肢が増え、サービスの質も上がっていく可能性があるからです。
まとめ
ChatGPTのウェブシェア低下とGeminiの急伸は、AI市場が本格的な競争フェーズに入ったことを示しています。今すぐ使っているツールを変える必要はありませんが、「Geminiもちょっと試してみようかな」という気持ちがあれば、Googleサービスとの連携から始めてみるのが自然なスタート地点です。どちらが自分の仕事に合うかは、少し使ってみないとわかりません。

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